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3月末でユニバーサルエンターテインメントが日電協を脱退。

なんかこの話題凄いですよね。

昨日の記事のコメントにも、この件について意見書いてくれみたいなリクエストがありました。

一昨日に出回った情報だったと思うんですが、世間が大騒ぎしてる中、俺は酒飲んで花火さんの頭突きコンボ見てましたよ。


今日の記事は久しぶりに内容が真面目になるし、色々と長ったらしい名前が出てくるので、いつもの遊び入れたレイアウトだと文字数の調整が難しいです。

なので、裏ブログと同じノリでレイアウト無視で書くことにします。


あと、俺はもうとっくの昔に業界人ではないので、「ただの一パチスロユーザーの話」だということだけ頭に入れておいてほしいです。


まず、このユニバーサル日電協脱退騒ぎ。

みんなビックリしてますけど、俺からすると「ふ~ん・・・やっと抜けるんだ」くらいの感想です。

だって前々から明らかに抜ける準備進めてましたよね。

ユニバからすると、組合に居るメリット無いんですよ。


そもそも日電協(日本電動式遊技機工業協同組合)って何なのって話になるんですが、パチスロ遊技機メーカーの組合です。

昔はパチスロメーカー全社がこの組合に加盟していました。

理由は主に特許。

日電協に加盟していないと、村八分状態にされて特許の使用許諾が下りなかったんです。

日電協加盟メーカーで日電特許(日本電動式遊技機特許株式会社)っていう会社を作ってるんですが、これは特許のパテントプール会社です。


以前、

【遠隔】ホルコン特許の真実

この記事でパチンコ・パチスロ業界の特許争いについて軽く触れましたが、このパテントプールを使うと、メーカー間の特許紛争を(ある程度)防げたり、めんどくさい手続きを省けたり、諸々かかる費用を安く済ませられたりみたいなメリットがあるんです。

そして日電特許に参加するためには、日電協に加盟しないといけない縛りがありました。

簡単に言うと、「組合に入らない奴にはパチスロ作らせないよ」って感じです。

日電協に加盟せず、日電特許を使わず、気合で作ったJSIのオールドバーなんていうマッチョでパンクな機械もありましたが、やはり「スタンダードなパチスロ」を作るためには日電特許への参加は必須で、逆らったところで市場に受け入れられる機械なんて作れません。

ウェイト機能が無いパチスロ打ちます?

だからみんな加盟していました。


でも、今って非加盟メーカーの方が多いですよね。

理由は日電特許が日電協非加盟メーカーにも特許の許諾を下すようになったからです。


そうなった理由は、パチンコ遊技機メーカーの組合である日工組(日本遊技機工業組合)が作っていた特許パテントプール会社、日特連(日本遊技機特許運営連盟)が、公正取引委員会に独占禁止法違反で勧告審決を受け、解散したからです。

日特連も日電特許と同じで、「加盟しない企業は遊技機製造から徹底排除」という、狭い世界を作ってたんです。

余所者は受け入れない村です。

知らない人は、

「パチンコ機特許プール事件」 再考(PDF)


これ読めば事の経緯がわかると思います。


これを受けて、日電特許は「ヤベエ!」って思ったんですね。

「組合非加盟でも特許の許諾出します」っていうことにしました。

その結果、今日の非加盟メーカーの多さに繋がっています。

別に組合に入らなくても日電特許には参加できるんです。


そしてこの後、ユニバーサル(当時はアルゼ)は、日電特許を脱退しています。

日電協の組合員には名前が載っているのに、日電特許の参加企業には名前がありませんよね。

もうずいぶん昔に特許分野では切れてるんです。


この頃のユニバ(当時はアルゼ)はオラオラでした。

自前で特許バリバリ持ってるから、独り立ちできたんです。

「あ?日電特許?知るかよそんなもん」みたいな感じで、脱退後に日電特許とバッチバチに揉めています。

主にサミーとバチバチだったんですが。


アルゼの人、記者会見とかでボロクソ言いましたよ。

簡単に要約すると、

「日電特許はクソ」

「あの会社がやってることは詐欺」

「うちは勝手にやる」

「うちの特許侵害した奴は片っ端から訴える」


こんな感じです。

「目が合ったらぶっ飛ばすぞ」的な感じ。

切れたナイフですね。

この辺からアルゼは「特技→裁判」「趣味→裁判」みたいな感じになりました。


ただ、あまりにボロクソ言い過ぎて、名誉棄損で逆に訴えられてましたけどね。確か。

「前段判定方式」の特許やらでユニバは日電特許に訴えられていましたが、それは勝訴しています。

日本電動式遊技機特許株式会社との起訴の勝訴判決に関するお知らせ(PDF)

とにかく喧嘩上等だったんです。


そんなユニバーサルが最近、パチンコ業界の特許キング、SANKYOと一緒になって立ち上げたのが日本パチスロ特許株式会社

これも特許のパテントプール会社です。

日本には「パチスロの特許を管理する会社」が、「日電特許」「日本パチスロ特許株式会社」の2社存在することになりました。


ユニバとSANKYOに乗っかったメーカーは、全て「元パチンコメーカー」です。

京楽とかニューギンとか。

詳しくはリンク先ホームページを見てください。


ユニバーサルエンターテインメントという会社は、こういう動きをしていました。

日電協加盟メーカーが運営している日電特許とは別に、特許会社を作ったんです。

俺が最初に「やっと抜けるんだ」って言ったのは、ユニバは日電特許に用が無いから。

自立してるんです。


今回の日電協脱退騒ぎ。

結構多くの人が「カジノ絡み」とか「自主規制逃れ」とか言ってますが、そんなに単純な話じゃないと思うんです。

確かにユニバのフィリピン現地法人が賄賂でやらかしてますが、そんなのとは話が繋がらないです。

「本格的にカジノ事業に乗り出すため」とか言うなら、一番カジノ大好きなサミーの里見ックスは日電協の理事長ですよ。

それってどうなのよって話になりますし、再販やらの自主規制逃れも何も、ここ数年「ユニバーサルエンターテインメント名義」で遊技機、一つもリリースされてないですよね。

確か、系譜が出た前後あたりから一台も無いハズ。

全部エレコ、ミズホ、メーシー、アクロス。

メーシー以外は全部、日電協非加盟。

今度出る「ミリオンゴッド~神々の凱旋~」だって、「ユニバーサルブロス」っていう新会社です。

頭は当然、全てユニバーサルエンターテインメントですが、ユニバ本体は遊技機を発売していないんです。

組合抜けても抜けなくても、関係無いですよ。

この流れを見る限り、「ユニバーサルエンターテインメント名義」で遊技機をリリースすることは考えてないんだと思います。

多分ですけどね。

だからもしかすると、シンプルに「組合に加盟している意味が無いから抜けた」っていうだけかもしれません。


でも深読みしちゃいますよね。

特許会社設立の動きや、ボコボコ新規ブランド作ってリリース元を増やしている動きを考えると・・・


上の方で書いたパチンコメーカーの組合、日工組ですが、特許会社が解散した後も古い文化が継続していて、結局今も「日工組に加盟しなければパチンコは作れない」という伝統は継続しています。

パチンコメーカーはほぼ全社、日工組に加盟しています。

組合が強いんです。

非加盟で作ったところもありますが、かなり特殊なケースです。


一方、日電協はどうかというと、非加盟メーカーの方が多数派です。

メーカー全体の統率が全然取れなくて、まとまりが無いから警察庁もめんどくさいんです。

「ヤベエ」と思った里見ックスが「回胴式遊技機製造業者連絡会」なんていうのを作りましたが、結局パチスロメーカーは言うことなんて聞きません。

足並み揃える気など無し。

しれっとシカト、スルーしては、警察庁がキレる。

昔からずっとこんな感じです。


「パチンコ業界」「パチスロ業界」って全く同じに見えて、毛色が違うんです。

パチンコは組合(日工組)が警察庁との距離が近いというか、組織としての強制力があるので、パチンコメーカーは人気を獲得するために規則のギリギリラインを狙いはするものの、「やっていいと言われた範囲でギリギリを狙う」っていうスタイルなんです。

警察庁が「ブチキレる」ケースは少ないんですよね。

今回のMAX規制みたいに、警察庁が「ん~・・・気に食わねえな・・・」って感じになったら、組合は「サーセン」って感じで、早めに内規変更等で対応します。


一方、パチスロメーカーはというと、「やったらダメとは書いてない」

常にこれです。

型式試験は結局のところお役所仕事なので、明確に禁止されている箇所が無ければ通るんです。

常に隙を探し続けます。

もちろん、こういう抜け道を模索するからこそ、パチンコに比べてゲーム性が広くなったり、発展していくんですが、警察庁はそりゃキレますよ。

ゼロボ機の試験なんて、掘った穴埋めるくらい不毛な試験です。

延々と増えないボーナスを消化するだけの試験。

徹底的に抑える目的で作った試験方法を、パチスロメーカーはあの手この手で無力化してくる。


自分が警察庁の人間だとして考えたら、日工組に比べて、日電協ってイライラしませんか?

理事たちに向かって「お前らもっとちゃんとしろや!」って怒鳴り散らしたくもなるでしょう。


そして話は戻ります。

そんな日電協を、ユニバーサルエンターテインメントは3月末で脱退します。

メーシーだけ残して。

日電協に残った強豪と言われるメーカーは、今やゴミしか作れなくなったサミーと、全弾撃ち尽くした大都。

一方、脱退予定のユニバ(グループ)は開発力だけでなく、セキュリティ面でも他メーカーを大きく引き離しています。


組合と同じような特許会社を作り、軌道に乗ったところで、狙ったかのように組合を抜ける。

色々と勘繰りませんか?


俺はユニバがデカいことやろうとしてるとしか思えないんです。

10年以上前に、ちょっとだけ噂になったようなこと。

「新しい組合発足しちゃう」みたいな。

「ユニバ軍勢 VS 日電協連合」

こんなんになったら面白いなと。

それは冗談だとしても、今のユニバって結構「先のビジョンが見えてる会社」っていうイメージなんです。

動向が非常に楽しみです。


もちろん、前述したように「ただのシンプルな理由」の可能性もあるんで、あまり俺の話を鵜呑みにはしないでください。

前半は事実に基づいていますが、後半は妄想混じってるので。

ドカドカっと組合を脱退するメーカーが出てきたら、俺の妄想は当たったってことなのかもしれませんね。


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ポイントで需要があるかどうかわかるので。

結構書いてて楽しいんですが、長文になりすぎですね・・・


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