ルー=ガルー2(京極夏彦)書評~設定編~
ルー=ガルー2(京極夏彦)書評~人物編~
やっとこ本編のレビューね。
ホントに人物編が無駄だったな(笑)
まず本題に入る前に前提事項がある。
「ルー=ガルー2 インクブス×スクブス (相容れぬ夢魔)」
この作品は同じ京極夏彦の百鬼夜行シリーズ8作目。
(番外編除く)
「邪魅の雫」
これと繋がってる。
しかも繋がりが強い。前作より強い。
前作のルー=ガルー(忌避すべき狼)は、
同じ百鬼夜行シリーズ2作目に当たる「魍魎の匣」と繋がってた。
でもこっちは、どちらかというとオマケ的な繋がり。
魍魎と直接繋がってるワケじゃなくて、
短編集「百鬼夜行‐陰」
の中に収録されてる魍魎サイドストーリー、
「鬼一口」って短編。
これを読んでると、ラストが深くなるって仕掛け。
ただ、逆を言うと
「鬼一口を覚えてると中盤でほぼネタバレする」
ってリスクがあったんだよな、、、
でも今回は「インクブス×スクブス(相容れぬ夢魔)」の話だから放っておこう。また話が長くなる(笑)
結局、ルー=ガルーシリーズと百鬼夜行シリーズは同じ世界って事だね。
で、ルーガルー2は「邪魅の雫」。
正直、邪魅を読んだ人と読んでない人で、読んでる最中の感じ方が違ってくるレベルで繋がってる。
帯に毒が云々ってあったから、
「あ~、今回は邪魅系か~」
くらいに思ってたら、いきなり神崎とか名前出てくるから焦った。
百鬼夜行のファンがニヤリとするレベルじゃなくて、
これ、ある意味続編やん、、、
「毒」「瓶」「公安」「神崎」
キーワードがことごとく邪魅とシンクロする。
ルーガルーから京極入った人は、
直接、続編の2を読んでもいいけど、
百鬼夜行シリーズを先に読んではどうか?
ダブル続編ってあんまりお目にかかれないだろうから。
さて、
前作は章毎に「未成年パート」と「大人パート」で視点を変える手法を取ってたけど、
今回もそれは同じ。
未成年パートは来生律子。
大人パートは橡(くぬぎ)兜次がそれぞれ担当する。
橡はまぁわかるけど、
前作で空気だった律子を主役に持ってくるたぁどういう事だろ。
空気っていうか、最後にちょろっと出てきて関西弁で妙な存在感出して、結局何もしないで終わったキャラだったからね(笑)
前作の矢部裕子に代わる、今作のキーマンは、
ゴスロリ(笑)
もとい、作倉雛子。
ある意味、主役が雛子なのかな?
そうか、視点を雛子にすると内面描写をしないといけなくなるから、、、
やっぱ律子しかいないのか。
前回の葉月もそうだけど、少女の成長みたいなテーマもあるからね。
普通は新キャラ出すとこだろうけど、
前回ほとんどイジらなかった律子が浮いてたワケだ。
違うかな?
とりあえず、律子の口癖だかわかんないけど、
会話の中でしょっちゅう出てくる
「あ?」
に何故か吹く(笑)
で、本筋は雛子の持ってた毒瓶の謎と、
それを狙うかのような謎の集団。
謎の爆破事件。
神崎グループの謎。
未登録住民の失踪事件。
トドメに原因不明の発狂事件。
毎度の事だけど色々いっぺんに進行するんだわこの先生(笑)
一見無関係な事件が一気に収束して、
マルっとズバっと解決する後半は京極夏彦の十八番。
さすがの一言。
でも、今回の面白いとこはそこだけじゃない。
何より、前作ルー=ガルー(忌避すべき狼)で語られなかった事実がガンガン掘り下げられる。
もしかしたら後付けなのかもしれないけど、
橡の友達の過去、
殺人犯、中村雄二の過去、
この辺の真相を、今回の事件と繋げて一本化しやがった。
もう最初から続編書くの決めてて、
1作目で敢えて伏線を回収しないで残したって思うくらいにサラっと繋げる。
間に10年以上開いてるからそれは無いだろうね。
多分後から追加した設定だと思う。
でも自分が作った話の中に隙を見つけて繋げまくるってすごい事だぞ。
やっぱハンパじゃねえわこの人。
妖怪か?(笑)
余談だけど、
タイトルの「インクブス×スクブス」。
これは
「インキュバス」
「サキュバス」
こっちの方が一般的だよね。
あと、都築美緒の発明集もやりたいが無駄か?(笑)
前作のカメ1号~カメ3号。
今回のバッタ1号etc
榎木津が憑依したみたいなテンションで好きなんだよなこのキャラ(笑)
こういうキャラを一人放り込むから京極作品は惹き込まれる。
ネーミングはガメラとかライダーから持ってきてるんだけど、榎木津が付けたみたいな名前なんだよな、、、
カメは魍魎の「御亀様」と繋がってるのかどうか。
そりゃ考えすぎか、、、(笑)