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なんていうか、やっと観た。

これまでレンタルして、観ないまま返却すること2回。

毎回忙しい時期に借りちゃって観れなかったんだよね、、、


とにかくこの映画、完成度が高い。ひたすら高い。

アカデミー賞取ってるとかそういうのはどうでもいい。

本木の演技も良いけど、他の役者の演技も素晴らしい。

ちゃんと映画の趣旨を理解して役を演じてる。


何より良かったのが脚本。

これは本当に良い。海外で認められたのもここが良かったからだと思う。

良い脚本は頭にストーリーがスッと入ってくる。

これだけ内容をわかりやすくしてくれる脚本はなかなかお目に掛かれないぞ。

万人にわかりやすい展開だから最初から最後まで映画に入り込める。

いやはや素晴らしい。


まず「掴み」の部分が優秀。

映画のテーマが「納棺」なんだけど、

CMとかで概要を何となく知ってたからね、

最初は本木が田舎に帰って職探しをして、

なし崩し的に納棺の仕事を始めるような場面を想像してた。 


それが冒頭からブチかましてくる。

そして強烈に湿っぽくなる気配を出しといて、笑いを挟んでくる。

つまり、

冒頭で「これは納棺がテーマのお話なんですよ」って事と、

「こういうジョークを挟むから暗い話にはならないですよ」 

っていうのを明確に観客に提示してくれる。

これが上手い掴みだね。もう入り込まされた(笑)


実際、冒頭のシーンは時間軸としては映画の中盤に当たる。

中盤で同じ場面が流れるが、同じシーン構成なのに受ける印象が変わってくるからすごい。

とにかくこの映画、ガチで映画人が作った名作だと思う。

本木は本当にすごいと思った。


元々海外を意識して作ったかどうかはわからないけど、

翻訳されても映画の持つテーマは絶対に伝わる作りになってる。

これは映画でしか表現できないやり方なんだろうな。

久しぶりに完成度の高い映画観たわ。

ストーリー的な面で言えば後半の展開とか完全に読めるんだけど、

そういう先読みをするような映画じゃないからね。

伏線の張り方が王道なんだよ。


本木の視点で映画が進むから、

途中で納棺師に対する職業差別のシーンでは、

「こいつら何言ってんだ?」

と思うハズ。

でもそれは視点を変えれば普通の事なんだよ。

死体を素手で触って体拭いて、とか、

映画が演出してくれるから理解できるワケであって、

しっかりした説明が無かったらほとんどの人が偏見持ってるから。

中盤で本木が言われる「普通の仕事に就いて」、「もっとマシな職を選べ」

映画の観客は憤りを覚える場面だと思うけど、

みんなこの手の差別は日常的にやってるぜ。


脱線した。


とにかくこの映画は最近の邦画では特出した出来だと思う。

観て損は絶対無い。

「何を今更、とっくに観たわ」って声が聞こえてくるな(笑)

しょうがね~じゃん(笑)

しかしアカデミー賞って的外れな賞は出さないね。

信頼度がまた少し上がったよ。 

たまにカマすけど、やっぱ賞取った作品は観ておいた方がいいね。


ただね、

後半シリアスな展開になって、泣きの要素が出てきて、

ラストは爽やかな余韻を残して終わる構成になってるんだけど、

俺の場合、親父が死んで1年経ってないからどうしてもオーバーラップしてね、、、

なんだかな、、、

これはやっぱ一人で観た方がいいよ。

男は人前で泣けないからね。