主基板(以下、主)「定例会を始める」
「おはようございます」
主「会議は10分で終わらせる。集中しろ」
「はい」
主「知っての通り、先日、日電協から方針が発表された。今後は私、主基板が出玉制御を全て行う」
「・・・・・・」
主「現在開発中の機械は全てお蔵入りか、全面仕様変更だ。気が滅入っている人間も居るだろう」
「それよりも・・・」
主「みんなが不安になるのもわかる。これだけ市場には高純増ATが溢れているんだ。今更ノーマルや低純増ARTを出してもユーザーがついて来ないと思っているな」
「・・・はい」
主「それは大きな間違いだ」
「え?」
主「規制が入らなければ現状は何も変わらなかった。今後は出玉に関わる部分全てが検査対象になる。隠し事はできない。これは我々メーカーにとってはマイナスだが、業界全体で考えればプラスだ」
「そうでしょうか?」
主「そうだ。ここ数年でどれだけの信用を失い、どれだけ遊技人口を減らしたと思っている。パチスロファンに不信感を持たれ続けている状態で、新規ユーザー獲得ができると思うか?庶民の娯楽が、今や悪の手先扱いだ。そんなイメージをネットで刷り込まれて育った世代が、アニメに釣られて遊んでくれると本気で思っているのか?」
「・・・それは」
主「もちろん遊技人口低下は全てがメーカーだけの責任ではない。ただ、業界の悪循環を作ったのは間違い無く我々メーカーだ。ユーザーを無視して売ることばかりに注力した結果が今だ。ユーザーが求めているのは『こういう機械だ』という妄想に、作り手自身が取り憑かれている」
「・・・・・・」
主「射幸性だけがパチスロの全てじゃない。まず先入観を捨てろ。今は事態を前向きに捉え、AT機が市場から消えるまでの間にできることを全てやるんだ。多様性を無くした今の状況から抜け出す好機だと考えろ」
「私たちはユーザーに認められるモノを作るしかないということですね」
主「その通りだ。しばらくは本当に辛い状況が続くかもしれない。ただ、諦めずに試行錯誤を続け、『パチスロの面白さ』を追求すれば、必ず良い方向に転ぶ。私はそう信じている」
「わかりました!頑張ります!」
・・・
・・・・・・
※クビを免れたプログラマ(以下、プ)※
プ(う~ん・・・)
プ(あの人、目茶苦茶カッコイイこと言ってるけど、昨日のアレ見ちゃってるとなあ・・・)
プ(そもそも俺、本当に『アレ』言うのか・・・)
プ(いや、絶対無理だろ・・・)
プ(昨日のテンション、あり得なかったもんな・・・いつもだけど・・・)
~~~【以下、前日の回想】~~~
・・・
・・・・・・
主「ザマァミロォ~!」
プ「主基板さん!飲み過ぎですよ!」
主「お前これが飲まずにやってられるかっつ~の!サブ完全終了wwwクッソワロタwwwザマァ!」
プ「ザマァって・・・しばらくはホントに大変なんですようちの会社」
主「知るかっつ~の!あのクソ野郎、人のこと散々『脳みそファミコンレベル』だのバカにしやがって・・・」
プ「お気持ちはわかりますが・・・」
主「組合の方針出た時のアイツの顔見たか?」
プ「いえ・・・」
「!?」
主「こんな顔だwwwダメだ笑いが止まらんwww」
プ「ちょっと酷すぎますよ主基板さん・・・」
主「あ?お前俺に文句か?」
プ「いやいやいやいや!」
主「何マジんなってんだよウケるなお前wwwあ~テンション上がってきた!アセンブラ万歳!ゼッパチナメんなバーカ!www」
プ(飲むとこれだからなこの人・・・)
主「あっ!あっ!超面白いこと考えた!」
プ「何ですか?」
主「お前、明日の定例会の時、サブの野郎に『今までご苦労さまでした』って言え!」
プ「は!?イヤですよ何言ってるんですか!」
主「絶対面白いって!マジでウケるから!」
プ「面白いの主基板さんだけじゃないですか!」
主「いいから黙ってやれよ」
プ「・・・はい」
・・・・・・
・・・
~~~【回想終了】~~~
プ(俺、本当に言うのか・・・)
プ(いや・・・流石に酒の席のことだし・・・)
プ(主基板さんも酔った勢いだろうし、本気じゃないだろうな・・・)
・・・・・・
・・・
主「私の方からは以上だ。他に質問が無ければ定例会終了とする」
プ(良かった・・・そりゃそうだよな・・・いくら何でも言えるワケねえよ・・・)
主「・・・・・・」
プ「!?」
プ(めっちゃ俺のこと見てるぞ・・・本気だあの人!)
プ(どんだけサブ基板さんのこと嫌いなんだよ・・・)
プ(どうする・・・どうする俺・・・)
主「他に質問は無いか?」
プ(何で俺を見ながら言うんだよ!)
プ(いや・・・でも主基板さん怒らせるとメッチャ怖いし・・・)
プ(クビにされる可能性あるからな・・・ここはもう勇気出してやるしかないか・・・)
プ(サブ基板さんも、ショックから立ち直ってるかもしれないし!)
プ(チラッ)
サ「・・・・・・」
プ「!?」
プ(おいおいおいおい!全然立ち直ってねえじゃねえか!)
プ(この状態の人間を煽るのか俺・・・)
プ(それって人間的にどうなんだよ・・・)
プ(どうする・・・どうする俺・・・)
どうする・・・
・・・
・・・・・・
プ「詰んだかもしれない」
さあ、詰んでしまったプログラマーさん。
最初はガチな話を書こうと思ったけど、
マジな流れがイヤになって脱線したら、
ノリで大変なことになってしまった。
もう新章の主役はプログラマーさんでいいんじゃなかろうか。
いったいどうなるプログラマー。
頑張れ俺らのプログラマー。
続きどうなるの?
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そう、その通り。
書いた後に気付きました。
やっぱり創作してるようで、モデルはあるんですよね。